真夏の怪 後編(短編集)

あの女の子に小箱を渡して私の気持ちはスッキリしている。
そして和人さんが、可笑しな事を私に聞くの。
それは「凛子ちゃん、あそこで何を独り言を言っていたんだ?オレ、君は大丈夫かな?なんて思っていたんだよ。」と言うではないか!
「へッ?... ...和人さん?見てたでしょう?私が、女の子に小箱を渡していたでしょう?」
「エッ?... ...凛子ちゃん?どこにも女の子なんかいなかったけど。」
「ウソ!ほら、身長は私くらいで髪はオカッパでワンピースを着ていた子よ。あの女の子、肌の色は真っ白で大きい目がクルクルしていてね。あの子、和人さんを見て恋人ですか!なんて言うの。本当に恥かしかったわ。ねえ和人さん、聞いている?」
「あのさ、あのさ凛子ちゃん。オレ... ...凛子ちゃんが言うような女の子なんか見なかったっていうか、そんな子は何所にもいなかったよ。」
「はぁ~~~?ウソ!あんなにハッきりした女の子だったのに... ...エエッ~~~!ウソ~~!... ...もしかして... ...もしかして、ゆ、ゆう、ゆう... ...ゆうれ...幽霊~~~!!!」
「凛子ちゃん、もしかしてじゃなく幽霊だったんじゃないか?その女の子っていうのは。」
「キャア~~~!!!」
そして私はその場で腰を抜かした。




そして和人さんは私を抱きかかえて家に戻ったというわけ。
それからが大変だった。ウチの家族はその女の子の事を聞きたがるし、樹は「ねーちゃん、変だとは思わなかったのか?普通、女の子が一人で『あの社』にいるわけないだろう。」と私を馬鹿にした言い方をされ、おまけに和人さんの事まで「和人さんもねーちゃんの行動が可笑しいと思ったら止めてくれればよかったのに。」と彼を睨む。
母は「まぁ~~!凛ちゃんは貴重な体験をしたのね。」と暢気だ。
父は目を丸くしているだけで無言。
そして私は「でもね、あの女の子の手の感触がまだ残っているから私は幽霊じゃないと思うんだけど。でも和人さんは誰もいなかったというから私が話していた女の子ってやっぱり幽霊なのかな?」と私は今でも半信半疑なのだ。
その言葉に皆は『幽霊だ!』と声を揃えて言われた。だから私は女の子を幽霊と確信する。ああ~~私も人の意見に流される。
そして私の前では女の子の話をしなくなった。きっと私が夜、寝れなくなるからだと思っているんだろうか?私は子供ではない!
そして、その夜に限って凄く眠くなったのよね。もちろん、お風呂に入る気力なんてないし私は早くからベッドに入る事にしたわけよ。和人さんは勿論、ウチにお泊りしたんだけど、私は何も相手をしてあげるどころじゃなかった。
その夜、私にしちゃ珍しく夜中に目が覚めたのだ。何となく喉が渇いていたみたいだったから水を飲もうと台所へ行ったのよ。すると椅子に何かがいるわけなの。私は目を凝らしてよく見ると... ...ヤバ!あの子だ!... ...どうしよう~~!それに人間って、あまりの怖さや恐ろしいのには声など出ない!
その子は私をずっと見ているのよね。キャア~~!ヤダ~~!あの子と目が合ったよ~~~!
そうだ!お経だ!お経を上げなくっちゃ!!
そして私は目を閉じて必死でお経を上げていた。その時、彼女は「何をブツブツ仰っておられるのですか?」だとさ!お経をブツブツだなんて... ...このバチ当たりが!と言うよりお経が効かない!
そして彼女は私に指をさして彼女の向かい側の椅子を指で示したのだ。
「座れ」という事だろうと思って私は彼女のいう事に従ったのだ。だって呪われたらイヤじゃない!
そして彼女は私にポツリポツリ話しだした。
「こんな遅くに申し訳御座いません。それにお休みになられていたのでしょうね。」と彼女曰く。
「は... ...は... ...い。お休みになられていました。」と怖くて緊張!
「本当に重ね重ね、申し訳御座いません。」
「い... ...い...い...え、重ね重ねどう致しまして。」
「実は、貴方様にお願いがあって参ったので御座います。」
「おお... ...おおお願いがあって来られましたのですか?」
「(コクコク)」
「あ...の... ... ...あの... ...貴方様のお願いとは何で御座いましょうか?」
「わたくしは、もうこの世の者では御座いません。」
「(コクコク)... ... ... ...今日、知りましたで御座います。」
「それで、あつかましいお願いでは御座いますが、貴方様ならわたくしの願いを叶えて頂けるのではないかと思った次第で御座います。」
「... ...貴方様... お願いで御座いますか?... ...そのお願いとは?」
「この珊瑚で御座いますが、わたくしの墓標に埋めて頂きたいので御座います。」
「... ...この珊瑚... ...この珊瑚を貴方様の墓標に埋めればいいので御座いますか?」
「(コクコク)」
「... ... ... ... 」
「大変、申し訳なく思っております。しかし!」
「は、は、はい... ...」
「貴方様もご存知のはず。わたくしにはこの珊瑚が命で御座います。ですから... ...」
「... ... ... ...」
「何も『無償』とは申しません。」
「... ...あの~~... ...無償ではないと仰いますが... ...」
「わたくしにも少しの遺産が御座います故、貴方様に差し上げたいと。」
「遺産???遺産って?」
「お恥かしい事では御座いますが、もし私の願いが叶うようでしたら貴方様の為に全てを差し上げたく存じます。」
「結構です!貴方様の遺産など欲しくてお願いを聞くわけでは御座いません!」
「では!わたくしの願いをお聞き下さるのですか?」
「いえ... ...お願いを聞くって... ...それに私は貴方様の事を何も知らないし。」
「大丈夫で御座います。貴方様は何もご心配なさらないで下さいませ。」
「... ...どうやって私は貴方様の墓標まで行くのですか?」
「ホホホホホ・・・・・それは、ちょっと貴方様の体をわたくしが借りるだけで御座いますからね。」
「エエッ~~~!私の体を借りるって?どうやって??」
「大丈夫で御座いますわ。では、少し目をお閉じ下さいませ。」
そして私は彼女の言うように目を閉じたのだ。
私は気が付いたと言うより目が覚めたとき自分のベッドに寝ていたのよ。
そして、朝になっていたっていうわけ。
でも、彼女が言ったように私の机の上には、あの小箱が置いてあって中を見てみると『七色のビー玉』が入ってあった。これが彼女の言っていた「財産」なのか?
私は「お金」だと思っていたわよ。そして綺麗な和紙に「有り難う御座いました。貴方様の事は一生忘れませんわ。」と。
「一生忘れません」って、彼女は幽霊なのに、どういう意味だ??
それに「墓標」ってお墓のことか?
まぁ、彼女の願いも叶ったんだし。... ...でも、こんな話しは誰にも言えやしないわさ。
また私は可笑しい!と思われるだけだし。内緒だ。
そして朝、皆と朝食を食べているときに母が「ところで凛ちゃん。昨日は疲れていたようね。」と。
「何?」と私が聞けば「だって、寝言でお経を上げていたじゃないの。本当に可笑しな子ね。ホホホホ・・・」
「そうだよ!ねーちゃんったら急に『~で御座います』とか『貴方様~~~』とか『財産で御座いますか?』とか色々。変な丁寧語を話していたよな。」
「.. ...そう?」
「ねーちゃん。いったい、どんな夢を見ていたの?」
「ハ、ハ、ハハハハ・・・・・気にしなくてもいいから。」

やっぱり私は家族の中では変な子に思われているに違いない!
和人さんも家族と同じように思っているんかもしれない。
だけど、こんな話しは人にするわけにはいかないしね。
「夢」そう!夢にすれば良いだけ。
でも、和人さんなら信じてもらえるかな?
チラッと彼を見たら彼は何も耳に入ってないような仕草で朝ご飯を食べていた。
... ...黙っていよう!


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by everlasting-lif | 2015-08-13 12:06 | 短編集 | Trackback | Comments(0)

いろいろな出会いがあって、楽しい事も考える事も。たまには悲しいことも。後悔も。


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