真夏の怪 中篇 (短編集)

私と和人さんは賑やかな境内に着いて両親達を探したの。
母と父は皆と盆踊りの輪の中で踊っていたのだ。樹は見当たらない。きっと友達と境内のどこかで楽しんでいるのだろう。
そして私と和人さんはお祭りを見て歩くというより出店を見て歩いたのだった。
その多くの出店の中で私だけかもしれないけど目を引くものがあった。
その店は輪投げ屋さん。それは輪投げをして古い商品に輪が入って、その商品が貰えるというもの。
今の時代、お金を出してまで古めかしい商品など誰も欲しいとは思わないだろう。
でも、私はその飾ってある「小箱」が気になって仕方がなかったの。だから「和人さん。私、あの小箱が欲しいから輪投げがしたい。」と言った。和人さんも「じゃ、オレも挑戦する!」と言って私達はお金を払って輪を3輪もらい投げたのよ。するとね、これが案外 難しいじゃない。でも、私は最初の1輪から狙っていた小箱に輪が入ったのだ!




それに闘志を燃やしたのか和人さんまでむきになって... ...クックククク・・・・
「クソ~~」とか「この輪はオレを馬鹿にしている!」とか輪に当たっているけど、これは遊びだよ。そんなに、むきになるのは可笑しいわ。
結局、私がゲットしたのは嬉しいことに欲しかった小箱。あと2輪は外れた。和人さんはゼロ。
「見たか!和人!私はゲットしたぞ!」と言いたいけど言えないのが辛いところ。
そして小箱を見ると綺麗な模様が施してあって古めかしいなんて思えない。でも時代物を感じる。
私が飽きずに小箱を見ていると「凛子ちゃんが欲しかったのはコノ小箱なの?」と言われたから「ウン!」と何故か元気良く返事をしてしまったのだ。そして何故か知らないけど私にとっては、とても大事な小箱に思えてさ。ずっと離さずに両手で持っていたの。私達は歩き疲れたのもあって境内の隅っこに座って小箱を開けてみたら、その中に古めかしい一粒の赤い珊瑚が入っているじゃない!
「和人さん!これ珊瑚?」
「どれ、見せてごらん。」
「この赤い粒って珊瑚かな?」
「う~~ん、分らないけど本物の珊瑚だったら儲けたね。」
「この珊瑚、さっきのオジさんに返してこようか?」
「クックククク・・・・凛子ちゃんの好きにすれば良いよ。」
「じゃ!返してくる。」
そう言って私と和人さんは先ほどの輪投げ屋さんの店まで行った。だけど、そのお店はない!どこにも店がないじゃない!
「和人さん、輪投げ屋さんはココにあったよね。」
「そうだよ。」
「でも店がない!どうして?」
「もう、店じまいしたんじゃないか?この店で輪投げなどするのは君しかいないだろう。」
「そうかな?... ...」
本当に不思議だ!さっきまでココにあった店がないなんて私は狐につままれているみたい。
店がないのに珊瑚は返す事ができないから私は珊瑚もセットだと思うようにした。でも彼の言う通り本物だったらラッキー~~♪
そして祭りと言えば花火!そう花火が最大のイベントだ。その花火を見るために境内にいた大勢の家族連れやカップル達が移動を始めた。もちろん私達も年に一回の花火大会を見るために移動する。相変わらず、小箱を大事そうに持っている私。
でも私の気持ちは花火を見たいのに、どういうわけか、さっきの幽霊が出ると噂されている階段に無性に行きたくなったというより行かなくてはならない!というような思いがあって... ...
そして和人さんには無理を言ったのよ。和人さんは「また行くの?あの場所は怖いんだろう?それより花火を見に行こう!あんなに楽しみにしていた花火じゃないか。花火を見てからでも良いのじゃないのか?」
「でも... ...」
「... ...まあ良いか。花火は他の町でもしているからね。君がそこへ行きたいなら一緒に行くよ。(ニッコリ)」
「ホント!良いの?花火が見れなくても良いの?」
「クス!良いよ。また来年も夏祭りはあるんだし。それに君がアノ社に行きたいと言うのだから何か理由があるんだろう?」
「理由... ...別にないんだけど... ...何故か行きたくなっちゃったの。」
「理由なしって?... ...」
「和人さん、理由を聞かないで。」
そして私はあの場所に急いだのだ。別に急ぐ必要なんかないのに、この時ばかりは体がかってに動くから不思議!きっと彼は凄く私を変な子だと思われていること間違いない。私だって不思議なんだもん。でも私、変人じゃなからね!和人さん!
そして私は一本の樹、別に大きくないんだけど凄く気になる樹があって、その所まで行ったのよね。きっと和人さんは私の行動には謎だったんじゃないかな。
そして私はその樹に「はい。小箱を持ってきてあげたよ。これで良い?」と訳の分らんことを言っている。私も誰もいないのにいったい誰に話しかけているんだか??
そして... ... ... ...
「有り難うございます。」
キャ~~!返事した!ウソ~~~!... ...どこ?どこにいるの?と私は周りをキョロキョロと誰かを探していたのよね。この時、怖さがMax!!
そして樹の陰から背丈、私ぐらいで髪はオカッパ、淡い色のワンピースを着た女の子がひょっこり立っていたの。この時、周りは真っ暗いのにやけに女の子の顔が白くて大きな目をパチクリしていてさ、思わず「可愛い~~~!」と心の中で思っていたのよね。私は女の子と出会って怖いというより何故か守ってあげたくなるような印象を受けたのよね。
そして私が持っていた小箱を女の子に差し出したら彼女、私から奪い取るように取ったのにはビックリよ!そして私が「コレ、探していたんだ。」
「はい。でも全然、見つからなくて困っていたのです。」
「この小箱は露店の輪投げ屋さんにおいてあったの。それを私がゲットしたのよ。凄いでしょう~!アッ!のこ中に赤い珊瑚が一粒、入っているからね。」
「はい。」
「よほど大切な珊瑚なのね。」
「この珊瑚は私の命。あの方から頂いた大切な大切な物なのです。」
「良かったね。(ニッコリ)」
「本当に有り難うございました。でも、私が怖くないのですか?」
「怖い?何故?」
「私は... ...」
「あなたも早く帰らなければいけないわ。それに一人なんでしょう?ここは噂がある社よ。」
「噂ですか... ...私の噂があるのですか?」
「... ...(まさか!...キャア~~~!)こ、こ、この場所に幽霊が出るという噂よ。あの、あの... ...あなた、幽霊... ...さん?」
「... ...(コックリ)」
「... ... !!(ウソ~~!幽霊にしては足がある!それに目鼻立ちのはっきりした美人さんだけど本当に幽霊だなんて、きっと私をカラかっているのに違いない!)... ...」
「別に私だって幽霊なんかなりたくないんです!ただ、あの珊瑚を手元に欲しいだけなのです。」
「... ...幽霊さん... ...って可愛いですね。あなた、美人です。羨ましいです。」
「あなただって可愛いじゃありませんか。それに、あそこに待っていらっしゃる方が恋人なのね。」
「... ...!照れるじゃない!もう~~!幽霊さんったら~~♪」
「お幸せそうね。羨ましい... ...」
「じゃ、この小箱を渡したから帰ります。じゃあね。早く成仏して下さいね。」
「アッ!... ... ... ...」
そして私は振り向く事もなく和人さんとソノ場所を後にしたの。
でも、あの幽霊さんはちょとも怖くなかったわ。幽霊というより、あの社に来る人をカラかっているだけと見た!なんて思って私は一人で納得したのだ。だから私も「成仏してね。」なんて冗談が言えるわけよ。本物の幽霊だったら小心者の私はきっと腰を抜かしている。
だけど最後に聞いた言葉は「アッ!」だ。何が「アッ!」だったのかは不明。
そして帰りに、もう一度私はさっきの樹に振り返って見たけど、もう、そこには女の子はいなかった。
きっと、彼女も怖くなって家に帰ったんだわ。帰って当然よ!でも一人であそこにいるって勇気あよね!
まぁ理由はどうであれ良かった。大事な珊瑚を返すことができたんだしね。めでたし、めでたしだよね。でも何故、あの子はあの社にいたんだろう?それに小箱も見つからないって言っていたし... ....
本当に不思議な女の子だったわ。でも、あんな鮮明で私から小箱を受け取るときも彼女の手の感触があったし幽霊ではない??
そして私は和人さんと手を繋いで社を後にした。
だけど和人さんは私を見てすごっく不思議そうな顔をしていたのよね。
きっと、私が見も知らない女の子と話していたからだと思う。

でも、自称幽霊さんとはそれだけじゃ終わらなかったのだった。

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by everlasting-lif | 2015-08-12 19:33 | 短編集 | Trackback | Comments(0)

いろいろな出会いがあって、楽しい事も考える事も。たまには悲しいことも。後悔も。


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