そんなに嬉しい弁当か?

お昼のチャイムが鳴り響く三課。
そのチャイムが鳴り終わると先輩たちは私のデスクの前に集まってきた。
そして片山先輩までもがチャイムと同時に部署に入ってきたのだ。
ホント、この先輩の行動は早い!
「凛子ちゃあ~~ん!」と片山先輩は頭のてっぺんから声が出ているかのように私の名前を呼んだ。
「片山先輩。ハイ!お弁当です。どこで食べますか?アノ部屋に行きますか?」と私。
「いや、君のデスクで食べよう!」と片山先輩曰く。
私はお弁当が食べられるなら部屋ならどこでも良いんだから。
そして先輩はアノ隠れ部屋から椅子を持ってきて私と対面しながら食べるのだ。
そして先輩はお弁当の蓋を取って... ...
「... ... ...!あ、有り難う~~!!オレは嬉しい~~!!」と。
「良かったです。そんなに先輩に喜んでいただけるなんて私も嬉しいです。(ニッコリ)」
三課の先輩たちまで片山先輩に作ってあげた弁当に興味シンシンで「おっ!おむすびだ!」とか「うまそう!」とかいろいろ... ...
山田先輩は弁当のおかずを舐め回すかのように眼鏡の奥から見ている。
そして「栄養のバランス良し!」と訳の分らんことを言っている。
本当に三課のギャラリーたちは何なんだ!
そんなことより皆、早く昼食を食べればいいのに。




そんなに喜んでくれている片山先輩だけど果たして味はどうなんだろう?と心配している私の顔を見て「どうしたの?」なんて聞いてくれる。
「片山先輩、食べないのですか?」と私。
「今は君の手作り弁当を眺めてるんだ。(ニッコリ)」
「眺めているんですか... ...」
「だって食べるのが勿体無いだろう。食べる前に写真も撮らなくっちゃ!」
「はあ... ...」
先輩は私の作った弁当を眺めてるだって?写真も撮るって?
信じられん!この人、お母さんに弁当を作ってもらったことがないんだろうか?なんて思っていたら... ...
「キュウ~~~~」
ヤダ!お腹の虫が... ...恥ずかしい~~!
「すみません。先輩。私、お腹が空いて... ...」
「アッ!ごめん。君がオレのために作ってくれた弁当だと思うと、つい... ...(ニコニコ)」
「先輩、食べませんか?こんなお弁当でよければ私が作って差し上げますよ。」
「エエッ~~!本当に!」
「はい。でも時々でもいいですか?毎日はちょっと... ...」
「良い!良い!毎日じゃなくても!」
そして私はじっと弁当を眺めている先輩に早く食べるように促したのだ。
この場合、私が次回も弁当を作るってことで先輩は聞き分けの良い子供のように言い包めたのだ。ヤレヤレ、やっと食べられるわ。疲れた... ...

そして食べているときに先輩はおかずの種類について聞いてきた。
「これは何のおひたし?」とか「この卵焼きはキレイな黄色で切り口がまるでクレープのようだ。」とか「朝からエビフライって大変だったね。」とかいろいろ。
そしてなにより先輩が喜んだのは「おむすび」だった。
おむすびの中には梅干だけしか入れなかったけど先輩にとってはかなり美味しいらしい。
私にしてみれば普通の梅おむすびにすぎない。
そして先輩は食べながら「ところで映画のチケットの事なんだけど... ...」と言ってきた。
やはり映画のチケットでは安すぎるんだろうかという一抹の不安を覚えた私。
「やっぱり映画のチケットでは安いですよね。」と先輩に恐る恐る言ってみた。
「いや、安いとか高いとかじゃなくて何故、一枚だけなの?何故、凛子ちゃんのチケットはないの?」と先輩曰く。
「私はあまり映画は見ませんから。それにアクション映画なんか尚更見ません。」
「なんで?アクション映画って面白いよ。」
「はぁ... ...」
「じゃ、こうしよう!オレから凛子ちゃんに弁当の『お礼』をするよ。だから一緒にコノ映画を見に行こう!」
「はぁ... ...」

と、いうわけで私は先輩に「お礼の弁当」の「お礼」をされたのだ。
なんかややこしいわぁ~~~!



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by everlasting-lif | 2014-06-19 07:57 | 雨のち時々晴れ。 | Trackback | Comments(0)

いろいろな出会いがあって、楽しい事も考える事も。たまには悲しいことも。後悔も。


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