農繁期にて。

季節は秋。10月なのだ。10月と言えば、そう!「稲刈り」
そして一年で一番忙しい季節なのだ。ウチの市は農家だらけだから、あっちの田んぼ、こっちの田んぼで稲刈りが始まっている。
ウチはお父さんが兼業農家だから農協が休みの時にだけしか農家の仕事は出来ない。
まぁ、農協が終わるのが5時過ぎだから夕がたでも畑は出来るが、夏のみ。だって夏以外は日が早く沈むからだ。
そして私も稲刈りに勤しむことになる。
でも、今年は片山先輩と何故か分からないけど小山さんも稲刈りに手伝ってくれることになっている。
数日前、私は片山先輩に稲刈りを始める日を伝えた。片山先輩は「そうか!もう、そんな季節になったんだなぁ~~!」と。だから私は「そうなんです!一年って早いですね。」と返答。
小山さんからは何を思ったのかは不明だけど「徳山さん、僕も農繁期に手伝いに行かせてね。」と言われたのだ。だから彼に伝えたら小山さんは「必ず行くよ。ねえ、徳山さん。僕でも出来るかな?」と。
だけど小山さんには正直、どう答えたらいいのかが分からない。
なんせ小山さんは金持ち。だから稲刈り自体、知らないのかも。まさか、米はスーパーで作っているとは思っていないだろうな?... ...いくらなんでも余程のバカじゃないかぎりそれはないだろう。
そして、今度の日曜日に二人が手伝いに来ることになった。
母は何故かウキウキ。父と樹は普通。それよりも母が「凛ちゃん、片山さんと小山さんの昼食は何をお出しすればいいかしら?」なんて聞いてくる。
父は「その辺の物を出しておけばいいんだ!ご馳走は稲刈りが終わってからでいい!」と曰く。母は「あなた!凛子の先輩と彼氏ですよ。そんな事はできないじゃない!」と。
「だが、今はご馳走なんか作っている時間なんてないだろう!」と父。
母も負けん気が強いのか「分かりました!もう、あなたには聞かない!」と言い出す始末。
お母さんの言い分、お父さんの言い分が分かる私だけど忙しい日になるんだから昼食なんて何でもいいと思うわよ。なんだったらコンビニでお弁当を買ってくりゃいいじゃないのさ。
朝から夫婦喧嘩らしきものを見るなんて縁起が悪い!
そして午前8時。片山先輩が我が家に到着!




「おはようございます!片山です!」
玄関から元気な先輩の声がする。私は急いで玄関に行くと、先輩は今にも作業が出来る格好で立っていたのだ。「先輩、早いですね。ありがとうございます!(ニッコリ)」と私は元気よく挨拶をした。母は大台所から慌てて来たようで「片山さん、今日はよろしくね!(ニコニコ)さあ、上がって!」と。
「じゃ、おじゃまします。」
「先輩、今日は何時に起きたのですか?」
「早いよ。だけど、今日のために昨日は早く寝たんだ。俺」と言う。
そして父が「おはよう、片山さん。今日は宜しく頼むよ。」と以外にも嬉しそうな顔をしている。
そして父は皆に一日のスケジュールを言い渡して、我が家の田んぼへ行ったのだ。
父と樹と片山先輩は田んぼの稲を午前中までに一反を刈る予定だ。
私は刈った稲をまとめて行く。母は昼食の準備をするそうだ。
結局、母が勝ったようだ。父弱し。
そして私達は順調に稲刈りをしていたときだった。
私の携帯に小山さんからのメールがあった。時刻は10時過ぎ。彼は駅まで来ているというのだ。
そのメールを見て私は慌てて駅まで行こうとしたら樹が「俺、迎えに行くよ。」と言ってくれたのだ。やはり一度でも兄弟ごっこをした甲斐があった。樹は小山さんのことを兄さんだと思ってくれているだろうか?そんなわけがないか!まぁ、私としては時間のロスがないから助かる。
そして樹が駅まで迎えに。その間、私が樹の分まで刈ることにした。勿論、鎌でね。
私は鎌で稲を刈り、お父さんと片山先輩は機械で刈っているところに近所のおばちゃんが「まぁ~~!凛ちゃん、あの男性はお婿さんになる方なの?良いわね~~フフフフ・・・」と。
お婿さん... ...お婿さんって、片山先輩は私の彼氏に見えるんだろうか?
まぁ、私から二人を見ていると先輩は初めての稲刈りだけどお父さんに注意を受けながらでもイヤな顔もせずせっせと一生懸命に刈ってくれている。
お父さんも機械の説明なんかを交えながら先輩と一生懸命だ。
時々、聞こえてくる二人の笑い声。本当に婿と舅の関係みたいに見えないこともないから不思議なのだ。

   「ねーちゃん~~!小山さんだよ!」

樹の声で我が家の前を見ると、小山さんと樹の姿があった。
私は慌てて小山さんのところへ駆け寄ったのだ。
「じゃ、ねーちゃん。俺、田んぼに行ってるから。」
「了解!じゃ、小山さん... ...小山さん、着替えは持って来られましたか?」
「着替えってこれじゃダメなの?」
そこにはどこかへ遊びに行くような姿の小山さん。
私は絶句する。この格好で稲刈りが出来ると思っているんだろうか?
それに私は「汚れても良い服できて下さい。それと長靴、軍手は必要です。」と言ったはず。
なのに!なんだ、この服は!おまけに革靴のブーツで来てさ!本当に稲刈りをする気あんのか?
草刈だってできやしないじゃないか!
... ...仕方ないか。また、樹のを借りなければならない。
私は急いで樹を呼んだ。
「樹~~~!ちょっと来て~~~!」
「... ...徳山さん、僕の服では手伝えないの?」
「小山さん、農家の手伝いとは汚い服でいいんです。そんな綺麗な服と革靴のブーツではちょっと... ...」
「でも僕は一応、汚れてもいい服で来たんだけれどな。それに『長靴』というものがなくて一応、捨ててもいいブーツを履いてきたんだけど。」
「はぁ~~~!(本当にお金持ちのお坊ちゃんだわ。この格好が汚いって?信じられんわ!)小山さん、今日は樹のをお貸しします。それに着替えてくださいね。」
「... ...ありがとう。徳山さん。」

初めて農業をするのは分かる!それは許す。でも、この格好じゃ私とお父さんが気を使うじゃない。
片山先輩は小山さんより農業って理解していたぞ!
本当に大丈夫かいな、この人... ...

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by everlasting-lif | 2014-04-24 09:10 | 雨のち時々晴れ。 | Trackback | Comments(0)

いろいろな出会いがあって、楽しい事も考える事も。たまには悲しいことも。後悔も。


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