初めまして。徳山凛子です。

先輩と一緒に降りた私と樹は先輩に言われるまま2回の乗り換えをして先輩が住んでいる駅に着いた。ウチの家からこの駅までにかかった時間は約2時間30分。
遠い!本当に遠かった。先輩はここから2時間30分もかけてウチに来てくれているんだと思うと「先輩、ご苦労様です。」と言いたくなる。
そして先輩が先頭で私と樹はその後ろを歩いている。
駅からどのくらいの時間を歩いていたかなんてよく知らないけど、気がつけばそこは閑静な住宅街の中。
先輩は「もう少しだから。樹君、大丈夫?なんならオレが持つよソレ。」
「いいえ、結構です。」
そんな会話をしている先輩と樹だけど、結構仲が良いのかもしれない。何となくだけど。
そして先輩が「ココだよ。オレん家。」
見れば、なんと凄い洋館!まるで御殿だ!私はこんな御殿は芸能人の「お宅訪問」でしか見たことがない!
樹を見ればこの子も私と同じ。まさに固まっている状態。
「さあ、二人とも入って。お袋には言ってあるんだ。」と先輩曰く。
この場に及んで私の足は一歩も出ない。樹も私と同じ。
「どうしたの?二人とも、遠慮はいらないから。(ニッコリ)」
「でも... ...良いのですか?私たちがお邪魔しても、先輩の御両親に迷惑はかからないのですか?」
「エッ?なんで?何故、両親に迷惑がかかるんだ?おかしな事を言うね、凛子ちゃんは。」
私たち姉弟は恐る恐る門をくぐった。超~緊張するよ!多分、樹も同じだと思う。
そして先輩は立派な玄関のドアを開けて、遠慮なく「母さん。お連れしたよ。」と。
そして、広い玄関ホールを前にしてパタパタと足音が... ...



「まぁ~~~!あなたが凛子さんなのね。さあ、入って頂戴。」
「お、お邪魔します... ...」
「そちらが樹君ね。さあ、遠慮は要らないわ。(ニッコリ)」
「何してるんだ?入ってくれ。」と先輩は言うけれど、私と樹は前足が出ない。
「アッ!そうか、樹君。その野菜を頂くよ。」
「... ... ... ...」
先輩は樹から手土産の野菜を取り上げて先輩のお母さんにお渡しになられたのです。
「い、樹。上がらせてもらいましょう。ここに突っ立ているのはご迷惑だから。」
「ホホホホ・・・・・・」と何故か先輩のお母様に笑われたけど私、何か変なことでも言ったんだろうか?多分、私が緊張しているから何かおかしい事を言ったのかもしれない。
そして私たち姉弟が通された部屋は、これまた立派なリビング。
「凛子ちゃんはそっちに座って。樹君は凛子ちゃんの隣にね。」
「はい。樹、座らせていただきましょう。」
「クッ!クククク・・・・・・」
「片山さん。なんで笑うのですか?」
「いや、なに。樹君はいつも凛子ちゃんのいう事しか聞かないんだなって。」
「そりゃ、姉弟ですから、当然です。」
「樹、止めなさい。先輩に失礼でしょう。先輩、すみません。いつもはこんなんじゃないんですが、弟も緊張しているんだと思います。」
「ねーちゃん!」
そして、直ぐに先輩のお母さんがお手伝いさんと一緒に参上なされた。
「ホホホホ・・・・何を話しているのかしら?楽しそうだわね。」と仰るお母さん。
そして「凛子さん、いつも和人がお世話になって有り難う。それに新鮮なお野菜まで頂いて悪いわね。」
「いえ、あの野菜は先輩が一生懸命に世話した子ですから。」
「子?子って何なの?」とお母さんに聞かれた。
「すみません。『子』って言うのは一生懸命に育て、我が子のようにっていう意味なんです。言えば『田舎言葉』というか何というか... ...」
「まぁ~!そんな意味でもあるのね。でも、和人が野菜を作っているなんて信じられない話しだったのよ。和人は土いじりなんかするなんて思わなかったものですからね。何かに目覚めたのでしょうね。(ニコニコ)」
そんな事を聞きながら私達の前には綺麗なカップに入った紅茶とクッキーが並んだ。
「お口に合うか分からないけれど、さあ召し上がれ。」
「はい。頂きます。樹も頂きなさい。」
「... ... ... ...」
「まぁ~~!お行儀が良いのね。ホホホホ・・・・・」
「... ...(真っ赤)有り難うございます。」
「ホホホホ・・・・・・」
「ところで母さん、父さんは?」
「夕食までには戻ってくるでしょう。凛子さん、主人はあなたに出会えるのをとても心待ちにしていたんですのよ。」
「... ...(心待ちってなんで?この両親も不思議だ。)有り難うございます。樹もお礼を言いなさい。」
「有り難うございます。」
「クッ!クククク・・・・」とまた、お母さんに笑われたではないか!なんで、そう笑えるんだろう?
やっぱり片山家の人間は理解できない。
そんなことを余所に先輩は「本当に凛子ちゃんの御両親には世話になっているんだ。それに少しは野菜に関しても理解できたんだよ母さん。」
「それは良かったわね。和人」
「母さん、それに凛子ちゃん家族は暖かいし、いつも食事も頂いているんだよ。その食事も美味しい!樹君も凛子ちゃんやご両親に優しいし、本当に良い弟君だ。(ニッコリ)」
「それは良かったわね。和人。」
私は先輩親子の会話を聞いていると、まるで先輩はマザコンのようにも思えた。
それに先輩と令子先輩が結婚して同居となると令子先輩が可哀想に思える。
きっと、姑&嫁のバトルが毎日のように起こるであろうと思われる。
まぁ、マザコン先輩でも令子先輩が良いと思っているならば第三者の私は何も言えない。
哀れな令子先輩。私、同情します。
そして、なんやかんやと先輩親子の話しを私と樹は黙って聞いているんだけど、先輩が私たち家族の事を凄く褒めてくれるのは嬉しい。だけど、恥ずかしいのよね。
だって、ウチの家がいかにも農家ですと宣伝してくれているようで何とも言えない気持ちなのよ。
そう、まるで田舎者扱いのようで... ...
「凛子ちゃん?」と先輩に声を掛けられた。
その時に「グゥウウウ・・・・・・」と私のお腹の虫が... ...
それも、お腹の虫は無残にもみんなが聞こえる音で鳴った。超~恥ずかしいったらありゃしないわよ。その音にここにいるみんながシ~~ンとなった。
「そうだったね。まだ昼食も取ってなかった!母さん、何か持ってきて。」
「あら、もうお昼を回っているじやない。気が付かなかったわ。凛子ちゃん、樹君ごめんなさいね。」
このお母さんはそう言って奥へと消えた。
待つこと20分。2人のお手伝いさんが手に銀のお盆を持ち、その上に色々な食物が乗ってある。
その食べ物をテーブルに並べられて一言「お口に合うかしら?」とお母さん曰く。
「有り難うございます。」と礼を述べたのは良いけれどこれはなんだ?見たこともない物が目の前にある。そしてナイフとフォークがセット。
でも、ナイフとフォークで食べられるはずがない。だって小さいし、こんな食べ物は手で十分だ。
だけど、今は違う。折角、ナイフとフォークがあるのなら使わないとマナー違反になるかもしれない。だけど、これはどう食べたらいいの?樹を見たらこの子も同じ。
樹はジッーと不思議な食べ物を見つめて、いきなり手で掴んで食べた!
「い、樹... ...お行儀が悪いわよ。」と言った私だけど、先輩が「好きな方法で食べれば良いんだよ。(ニッコリ)」と言われたが私は大人。未成年の樹ではない。大人の女の私が弟と一緒に手で食べるなんて出来ない!
「ねーちゃん、コレ、サンドイッチだよ。手で食べても大丈夫だし。」と私の耳元で囁いてくれた。
だから私は「お行儀が悪いかもしれませんが、コレは手で持って頂きます。」と断りを入れて食べたの。だけど、先輩のお母さんはニコニコと微笑んでいるだけで私と樹が食べている様子を見ているだけ。先輩は私たち姉弟の真似をしてくれているんだと思うけど、手で持って食べ始めた。
「母さん、このサンドは手で持って食べる方が数倍、美味しいよ。」と私たちのマナーの悪さに気を使ってくれているのか庇ってくれているようにも思えたのよ。
「先輩!行儀の悪い姉弟ですみません。そして有り難うございます。」と心の中でお礼を言ったが口には出せない。
遅いお昼ごはんから数時間後、先輩のお父さんが帰って来られたのです。
私はすかさず玄関へ行き、靴を脱いでおられる先輩と良く似た体型のオジサンの前に立って... ...
「初めまして。私は徳山凛子と申します。」と挨拶をした。
お父さんであらせられるオジサンは、ポカーンと私を見て、そして笑顔になって... ...
「やあ~~!君が『あの凛子さんなのか!』」と仰って、私を抱きしめた!
なんだ?なんだ?この挨拶は!
... ...ハグか?
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by everlasting-lif | 2014-01-15 09:09 | 雨のち時々晴れ。 | Trackback | Comments(0)

いろいろな出会いがあって、楽しい事も考える事も。たまには悲しいことも。後悔も。


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