何故だか分からん、片山先輩からの招待。

片山先輩から訳の分からない事を言われてから数日が経った。
でも、先輩は相変わらず土曜、日曜とウチへ来る。これは「皆勤ものだ!」と両親は言っている。
今では父は「片山君は本気で農業をやりたいようだ。」とも。おまけに「片山君に今度、新肥料を教えてやらなければ!」といき込んでいる。
私が見ていても先輩は農業が板に付いてきたとは言えないが、まぁまぁ私たちの作業の邪魔にはならなくなったのは確か。
そして、今までの先輩と違うところは何故か樹に興味があるようだ。
たとえば「今日、樹君はどうしてるの?」とか「樹君はクラブに入ってるの?」「樹君は彼女はいないの?」などなど。
いくら姉弟の仲だとは言え、樹のことなど知らない。それに知ろうとも思わない。
先輩が樹のことをこんなに気になるんだったら自分で聞けよ!と言いたくなる。
そしてある日の日曜日。皆で夕食を囲んでいたら先輩はウチの両親に「お父さん。一度、凛子ちゃんを家に招待しようと思っているのです。宜しいですか?」と言った。
「片山君の家に?また何故?」と父が言う。
「今までのお礼です。何も知らない僕に農業のノウハウを教えて頂けるきっかけを与えてくれたのが彼女ですから。」と先輩曰く。
「そうか。きっかけか... ...お母さんはどうだ?」と父。
「まぁ~~!宜しいではないですか。(ニコニコ)なんなら私たち親子で招待して欲しいわね。あなた。」と母曰く。
「お母さん。それは... ...ワシは遠慮する。だから、お母さんも遠慮することだ。」と父。
「つまらないわ。じゃあ、樹と凛ちゃんで招待されればいいのよ。」と母。
「俺は行かない。」と樹。おまけに「ねーちゃんも行くな。」と付け足した。
「でも、先輩がせっかく招待をして下さってるんだから、家族の誰かが行かないと失礼じゃないの?ねえ、先輩。」
「いや... ...(なんで家族を招待しなくっちゃならないんだ!オレは凛子ちゃんだけを招待したいのに。空気を読んでほしいよ。まったく!)」
そして家族で「片山さんの招待だからここは顔つなぎってことで・・・・」と相談が始まった。
結論は私が招待してもらうことに落ち着いた。
だけど、私たち親子の一応会議らしき事を始めて約1時間が経過したにもかかわらず、先輩は黙って聞いていた。それも面白くないのに。
そして「先輩、私だけになりましたが良いですか?」
「勿論だよ!日と時間はメールで知らせるから。(満面の笑み)」
「ハイ!よろしくお願いします。」




そして、その夜に先輩からのメールが着た。
「来週の土曜日に。駅まで迎えに行く。」と。
私は「了解しました。では宜しくお願いします。」と送り返した。
間もなくして先輩からのメール「駅と言っても凛子ちゃんの町の駅に迎えに行くから待っててね。」と。
「先輩、いいです!私が先輩が住んでおられる町の駅まで行きます。」と返信。
「大丈夫だよ。凛子ちゃんはまだ、こっちに慣れていないから迷子になられても困るよ。(笑)」と。
「大丈夫です。駅の名前を聞けば、きっと行けます。だから先輩は心配しないで下さい。」と返信。
「良いんだよ!オレも凛子ちゃんの駅に行くのは好きなんだ。」と。
「先輩、本当に良いのですか?」と返信。
「遠慮なんかしなくても良いよ。(ニコニコマーク)」と。
「じゃ、お言葉に甘えます。」と返信。
「待ってるよ。早く土曜日にならないかな(ニコニコマーク)」と。
さすがにココまで先輩からのメールのやり取りをしていたら私の手がだるくなってきた。
返信をしないわけにもいかないから「では宜しくお願い申し上げます。」と返信した。
それから先輩からのメールは来なかった。内心、ホッとした。こんな事を令子先輩が見れば、きっと片山先輩と令子先輩の仲はヒビがはいるかもしれない。
だから令子先輩に見られても良いように最後は凄く丁寧語を使った。これで令子先輩は私と片山先輩との仲をおかしいとは思わないはずだ。本当に片山先輩からのメールは頭が痛い。
そして月曜日。
相変わらず片山先輩は3課に来る。だけど、おかしいことに片山先輩は令子先輩のデスクには行かず私のデスクに来た。
「凛子ちゃん。フフフフ・・・・」と私の名前を呼んで気持ちの悪いことに「フフフフ・・・」と笑った!
やはり先輩は壊れているんだろうか?今まであんなことをする先輩ではなかったのだ。
そして令子先輩と片山先輩は私を見てヒソヒソと何かを話している。
怖い... ...怖い!怖すぎる!
そして仕事中に令子先輩が私のデスクに来て「片山君から招待されてるんですってね。私も同行しようかしら~~」とおっしゃっるではないですか!私はすかさず「本当ですか!一緒に行きましょう!」と答えてしまったのだ。
でも令子先輩は「やっぱり止める。行かない。」と言うではないか。「何故ですか?令子先輩はその日は都合が悪いのですか?」なんて聞いてしまった私。
「フフフフフ・・・・・・まぁ、楽しんできてね。凛子ちゃん。」と言われた。
本当に令子先輩が「楽しんできて。」と言うぐらいだから片山先輩の家に行くのは大丈夫なのか?令子先輩抜きでいいのだろうか?なんて思うんだけど。それに何か意味深な感じもするのは私の考えすぎか?
本当に令子先輩といい、片山先輩といい、こんな恋人同士は今までに見たことがないだけに私の中では「これが大人の恋愛観」というのだと思ったのは言うまでもない。
だけど、私は付いていけない。ましてや都会の男女観なんて理解ができない。私は「大人の恋愛」ができるのは何時のことやら。
そして約束の土曜日になった。
片山先輩は時間通りに駅で待ってくれていることだろう。
そして私は家族に手土産として幾つかの種類の野菜を持たされた。
「片山君が育てた野菜だ。彼のご両親に食べさせてあげなさい。」と父。
「本当に、向こうのご両親には失礼のないようにするのよ。心配だから私も凛ちゃんと行こうかしら?」なんて未だに言う母。よほど行きたいのか?
そして樹は「ねーちゃん、駅までソレを持ってやるよ。」と優しい樹。
「ありがとう樹。早く帰って来るから。」
「ああ。」
そして駅に着いたら先輩は約束どおり待っていてくれた。
私たちを見つけて走ってくる先輩。
「やあ、凛子ちゃん。(ニッコリ)」
「先輩、わざわざすみません。」
「樹君、今日は凛子ちゃんを借りるね。(ニッコリ)」
「樹、これ貰うわ。」と言って野菜を受け取ろうとすると樹は「俺も片山さんの家に行くよ。」と。
「エッ!一緒に、樹君も... ...」
「俺が姉と一緒じゃ迷惑ですか?」
「いや、そう言うわけではないんだが... ...まぁ、とりあえず野菜はオレが持つよ。」
「いいえ!これは俺が持つように両親から言われているんです!だから俺が片山さんの家まで持って行きます!」
「樹、どうしたの?あとはお姉ちゃんが持つから。」
「いいよ。野菜って結構重いから、ねーちゃんには無理だ。それに俺も片山さんの家に行くと決めたから。そういう事で片山さん、よろしくお願いします。でも、俺が行くのは迷惑ですか?」
「いや、迷惑じゃないけど... ...」
「先輩、弟もそう言っていますし、良いですか?」
「いや...樹君は忙しいんじゃないのか?」
「いいえ、暇ですから。」
「それじゃ樹君も... ...(なんで付いて来るんだ?)」
「有り難うございます。先輩。(ニッコリ)」
「... ... ... ...」
そして私たち三人は片山先輩の家に行くために電車に乗った。
電車に乗っている間、先輩と樹は無言。野菜は樹が放さなかった。
私は「先輩のお宅って会社から近いのですか?」と言っても先輩は答えてくれず。
私はどうして良いのかが分からない。

((片山和人の心の声))
なんで樹君が付いて来るんだ!
今日は凛子ちゃんだけを家に招く予定だったのに!
何故だ?何故ついてくる!
もしかして、邪魔をするつもりか?オレと彼女の恋の邪魔をするつもりなんだ!
やはり、凛子ちゃんと樹君は義理の姉弟だったのか... ...
でも、凛子ちゃんは樹君の気持ちに気付いてる?
いや、さっきの会話の調子では気付いてない... ...
いや、凛子ちゃんと樹君はすでに恋人同士... ...
いや、違う。いや、恋人同士... ...
でも、凛子ちゃんが樹君との話口調では... ...まさか、樹君の片思いなのか?
だが、家に着いてからをどうするかだ。
折角、凛子ちゃんと楽しい一日を過そうとしたのに!
仕方がない。今日は実家へ行くことにする。
オレのマンションへ連れて行くのは今度だ。

((樹の心の声))
俺はねーちゃんに付いてきてしまった。
いくら片山のお礼だとか何とか言ってアイツのマンションに、ねーちゃんを連れ込むつもりなんだ!
そうはさせない。俺はねーちゃんのボディガードとして行きたくもないアイツの家に行くんだ!
それから... ...それからの事はアイツの家に着いてから考えることにする。


無口な二人と一緒に私は電車に乗っている時間は暇で、朝早くに起きたこともあってウトウトとしかけたときに... ...
「凛子ちゃん、次の駅で降りるからね。」
「はい、先輩。樹、野菜は大丈夫?」
「大丈夫だ。俺がちゃんと大事に持っているから。」
「ありがとう。」

そして私たちは先輩が言った駅で降りた。

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by everlasting-lif | 2014-01-13 01:30 | 雨のち時々晴れ。 | Trackback | Comments(0)

いろいろな出会いがあって、楽しい事も考える事も。たまには悲しいことも。後悔も。


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