アンバランスな二人の先輩。

片山先輩がそれほどまでに農業が好きだったことに驚いている私。
あの日を境に毎週、土曜日にウチへやって来る。
だけど、須藤令子先輩は来た事なし。でも何故に来ないのかということに疑問を持っている私。
まぁ、令子先輩も忙しいのは知っている。だけど、令子先輩だって農業は好きなはず。
私は知っているんだ!毎日、令子先輩と片山先輩が顔を見合わせて微笑んでいるのを。
多分、片山先輩が畑のことを報告しているのであろう。
私の考えだけど、片山先輩が畑のことを学んで令子先輩に教えるのだ。きっと、そうだ。
そして行く行くは二人で田舎に土地を買って... ...ムフフフフ・・・・頑張れ!片山先輩!私は陰ながら応援させてもらうよ!ううん、きっとウチの家族も応援すると思う。
そして令子先輩は「今週の土曜に凛子ちゃんのお宅に伺わせて頂くわね。(ニッコリ)」と言われた。
やっと、やっと!令子先輩は畑を始める気になったのか!
本当に片山先輩は「令子は何時になったら畑を始めるのだ?」と待ちくたびれたことだろう。
そして、ウチの畑でイチャイチャと「令子~これを持って。」「は~~い!せんぱ」... ...いや、先輩とは呼ばんだろう。先輩の名前は何だっけ?まぁ、いいや。でも、畑でイチャイチャなんて... ...クククク・・・・見ものだ!
早く来い!土曜日。



そして私が待ちに待った土曜日。
何時ものように私は駅に迎えに行った。
改札口から出てくる二人を待っているとひときわ目を引く女性がいた。
その横には片山先輩の姿。その女性とは令子先輩だったのだ。
さすが!都会の女性って感じ。
そして私と先輩二人は家に向かう道々で出会う人、出会う人が振り向く。
だって令子先輩の出で立ちといったら、パンツを穿いてはいるんだけど足は黒のパンプス。服は体にピタッとした赤いセーターでその上にフワーとしたアイボリー色というかなんと言う色なのか、まぁ薄い色のオーバーブラウスのようなものを羽織って、そして頭にはツバの大きい帽子。そして首にはこれまた何とも言えないような色のショールをしている。
こんな格好の人がウチのような田舎で歩いているというのが目立つ。
だから私も目立っている。恥ずかしいような何ともいえない心境。
片山先輩は何時もの格好。そう、それはデニムにタータンチェックのシャツに背中には何時ものリュクを背負っている。
このアンバランスの二人はおかしい。まぁ、お互いが良いと思っているんだから私は何も言えない。
令子先輩は家に着く間中、あれは何?これは?と質問のオンパレード。
片山先輩がそれに答えるんだけど「私は凛子ちゃんに聞いているの!」と自分の彼氏さんに一喝してる。だから私が答える。本当にこのカップルって不思議だ。
そして家に着いた私たち。片山先輩はさっさと着替えて「凛子ちゃん、先に行ってるから!」と言って畑に行こうとしていたから私は思わず「令子先輩は?」と聞いてしまったのだ。
すると令子先輩は「私?」と。
「... ...須藤、着替えは持ってきたのか?」と先輩。
「あら何故、私が畑をするのよ。私が今日ここへ来た目的は『自然に触れる』ためよ。早く行きなさいな。片山先輩。」と令子先輩曰く。
私は令子先輩の言った意味がよく分からない。「自然に触れる」と「畑をする」というのは同じではないのか?まぁ、令子先輩の事だ、私のような凡人には理解出来ない。
それから令子先輩は田舎の家が珍しいのか私に家の案内をするように言われた。
本当は家の案内なんかしている場合ではない!今日の畑仕事をしなくてはならないんだけど「畑へ行かなければならない。」なんて小心者の私には、とても言えない。
私は片山先輩の畑仕事が気になりながら令子先輩に家の敷地内を案内したのだ。
令子先輩は「田舎のお宅ってこんな仕組みなのね。」とか「田舎のお宅って敷地は広いけど何処へ行くにもわざわざ靴を履かなければならないなんて大変ね。」など田舎をバカにしているのか、それとも素直に大変ね。と言ってくれているのかが分からん。
そして御昼になって父と片山先輩は家に帰って来た。
母は片山先輩の彼女さんが令子先輩だという事で何かにつけて「片山さんが来て下さってから仕事がはかどると主人が言うのですのよ。ホホホ・・・」と褒めまくっている。
実際は母の話しの反対で片山先輩が手伝ってくれるから仕事がはかどらないのだ。
だけど、そのことは家族でも誰も言えない。
ウチの家族は皆が小心者なのだ。田舎特有の「反対語」って言うヤツかもしれない。
そして昼食を取って父と片山先輩は畑に行った。
残された私と令子先輩は他愛無い話しをすることに。
「凛子ちゃん。ところで片山君の仕事振りはどう?彼、役に立ってる?」
「はぁ~、まあ一応。」
「ホホホホ・・・・・その言い方では彼、邪魔をしているようね。」
「エッ?分かるのですか?」
「当然よ。だって彼の服だけが汚れているもの。あなたのお父様の服は綺麗だから。彼はきっと土など触ったことがないから無用に畑をいじくっているのでしょうね。ホホホホ・・・・・」
「令子先輩、でも片山先輩は農業が好きなのでしょう?だから、わざわざウチに来てまで畑を勉強しているのではないのですか?」
「農業が好きねぇ~~... ...あなたはそのように見えるのね。」
「ハイ!でなきゃ休みのたびに2時間もかけてウチには来られませんよ。」
「ホホホホホ・・・・・・まぁ、そうしといてあげてね。彼の初体験だから。今後とも片山君をお願いするわ。」
「ハイ!勿論です。父が最近、片山先輩に色々と教えているようなんですよね。母だって先輩が来るのを楽しみにしているみたいだし。」
「まぁ~~!そうなの。良かったわね。」
「良かった?良かったって、何が?」
「い、いいの。いいのよ。ホホホホ・・・・」
時々だけど令子先輩は訳が分からないことを言う。
まぁ、これも令子先輩の不思議なところだから。

「ねーちゃん。」
「あら、樹。どうしたの?」
「アッ!お客様... ...」
「初めまして。凛子さんと職場が一緒の須藤令子です。(満面の笑み)」
「... ... ... ...」
「樹!ご挨拶は?」
「は、初めまして。弟の樹です。いつも姉がお世話になりまして有り難うございます。」
「プッ!ハハハ・・・・アッ!ハハハハハ・・・・・・」
「令子先輩?... ...」
令子先輩はいったいどうしたんだ?
何がおかしいのだ?
樹が挨拶しただけなのに何で笑うの?
それに目に涙が... ...


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by everlasting-lif | 2014-01-05 11:23 | 雨のち時々晴れ。 | Trackback | Comments(0)

いろいろな出会いがあって、楽しい事も考える事も。たまには悲しいことも。後悔も。


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