それぞれの思い。(樹編)

樹が「やってらんない!」と言って私と父が作業をしている所へ来た。
いったい先輩と何があったんだ?
「樹、先輩と何かあったの?」
「ねーちゃん、アイツは何だ?ねーちゃんとどんな関係なんだ?」
「どういう関係って、会社の先輩と後輩だけど。それが何か?」
「アイツ、畑仕事は初めてだ。草刈なんかしたことがない!」
「そりゃそうよ。都会では畑と言っても家庭菜園だもん。こんな田舎の本物の畑での作業なんてした事がないのに決まってるでしょう。須藤先輩だって畑には興味はあっても自分ではするなんて言わないもの。それに綺麗な手が荒れるでしょうよ。」
「それは... ...」
「本当におかしな子ね。でも、もう良いわ。樹、ありがとうね。」
そして樹は家に戻った。
私は先輩のほうを見ると、あの人は変わった姿勢でトラクターを洗っていた。
でも何故、今頃トラクター洗いなのかしら?トラクターなんて使わないのに不思議な人だわ。






((樹の気持ち))

ねーちゃんが倉庫で何かを探していたのかゴソゴソとしていた。
聞くとねーちゃんは俺の古着が欲しいと言う。
理由はねーちゃんの会社の先輩が畑仕事がしたいらしく家に来たと言った。
俺は思った。俺の古着が要るという事はスバリ!男。俺は身長が178センチある。
だからその先輩と言うのは身長が俺と同じか、もしくは高い?低い?
そして、ねーちゃんが俺の古着を持っていそいそと家の中に入って行った。
俺は何気なしに畑に行ってみたら、なんと!男がねーちゃんと楽しそうに話している。オヤジまでもが男に指示をしている。
はぁ~~?あの男はなんだ?ねーちゃんと、どんな関係なんだ?まさか、彼氏... ...まさか、彼氏ではないのか?だけど、ねーちゃんは彼氏ができた事など一度も聞いたことはないし。
まさかとは思うがねーちゃんは騙されているのではないのか?家の財産を狙っている?
都会者にしては畑であろうが田んぼであろうが「土地」には変わらないからな。
田舎者のねーちゃんなら人を疑うことなど無に等しい。
だから俺はあの男の真相を確かめるために疑いを持って畑に行ってみたんだ。
するとねーちゃんは男が草むしりをしているのを手伝えと言うではないか!
俺は嫌々だったけど男に近づいてみたんだ。
先輩という男は顔良し。背は高い。きっと会社でもモテるだろう。というのが俺の第一印象。

「やあ!君の名は?」と男はなれなれしく俺に名前を聞いてきた。
「... ...樹」
「樹君か!そうか!樹君、オレは片山和人と言う。ヨロシクな。(ニッコリ)」
「... ... ... ...」
コイツ!俺を「樹君」とぬかした!
お前に「樹君」と呼ばれる筋合いなど無い!
そう言いたかったけど、俺は小心者。そんなことは口が裂けても言えない。
それから片山という男は俺にいろいろと質問をしてきた。
「今、何歳なんだ?」「学校は楽しいか?」「彼女はいるのか?」などなど。
俺はコイツに話すこともなく無言で作業していたのだ。
すると、コイツは畑で何かを見つけたらしい。
「樹君、これは蛇ではないよな。」
「蛇?これは... ...紐ですが。」
「紐!そうか~~!良かった!」
「片山さんは蛇が嫌いなんですか?」
「恥ずかしい話しだが蛇は大嫌いなんだ。ハハハハ・・・・・」
「そんなことでよく畑仕事がしたいなどと思いますね。」
「... ...お恥ずかしい。」
そして男は「ところで凛子ちゃんなんだが彼女は蛇でも虫でも平気なんだな。」とねーちゃんをバカにした言い方をした。
俺は腹が立って「そりゃ、『田舎娘』ですから。」と答えてやったのだ。
すると男は「いや、そんな意味ではなくて凛子ちゃんって何でも一生懸命だろう。俺、つい凛子ちゃんを手伝いたくなるんだよ。それに彼女、可愛いし。ハハハハ・・・・・」
なんだコイツ!ねーちゃんが可愛い?それに手伝いたくなる?
コイツの目は悪いのか?弟の俺が言うのも可笑しいがねーちゃんは可愛いというものではない!ねーちゃんは言わば普通だ。けど、弟のよく目で可愛い過ぎるかも。俺の同級生が「お前のねーちゃんって小さくて可愛いな~。彼氏はいるのか?」なんてよく聞かれる。
それにねーちゃん本人は知らないだろうがかなりモテるのだ。
だが、ねーちゃんは天然で純粋だから男に騙される可能性は大。
そこで俺はねーちゃんに内緒でねーちゃんに近づく男を排除してきた。
だが、この男がねーちゃんを狙っているとすれば... ...そうだ!きつい仕事をさせればいいのだ!
俺は頭が良い!
「片山さん。ここの草を刈ったら次はあそこの機械を洗って下さい。」
「機械?あっ!あれね。了解!でも、樹君が洗い方を教えてくれるんだろう?」
「片山さん、機械の一つも洗えないんですか?」
「いや、教えてくれたら洗えるかも。ハハハハ・・・・・」
「片山さん、一つ聞きたいのですが。」
「何だい?樹君。」
「片山さんって農業は好きなんですか?」
「何故?」
「俺、思ったんですが... ...姉が目的ですか?」
「... ...ハハハハ・・・・・その質問には答えたくないなぁ~~」
「そうですか。では機械の洗い方を教えますから、しっかりマスターして下さいね。あのトラクターは姉が可愛がっていますから。良いですね!」
「了解!」
そして、俺は畑には使わないトラクターをアイツに洗わしたのだ。
それにしたってヘッピり腰で洗っている。この男は畑などしたこと無いと見た!
まぁ、暫くはトラクターからは離れられないだろう。
一日かかって洗うことを俺は願う。
そして、俺はコイツの傍を離れて家に帰ろう~~と。


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by everlasting-lif | 2013-12-19 01:35 | 雨のち時々晴れ。 | Trackback | Comments(0)

いろいろな出会いがあって、楽しい事も考える事も。たまには悲しいことも。後悔も。


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