私は針の筵(むしろ)

「今日は3課の皆で何かあったの?」
「片山君こそ、どうして此処に?」
「実は、ちょっと友人とね。でも、先に帰っちゃったよ。」
「じゃあ、こっちに来る?」
「みんな、片山くんも一緒でも良いでしょう。」
「悪いな。」
これは須藤先輩と「片山さん」と言う先輩の会話です。
皆さん、何か言いたいこともあったとは思いますが、なんせ須藤先輩が決められた事。誰も反対などしません。
「そうだ、片山君。紹介するわ。こちら徳山凛子ちゃん。今年の3課の新人さんなの。今日は彼女の歓迎会なのよ。」
「ヨロシク!凛子ちゃん。」
「... ...宜しくお願い申しあげます。... ...(わたしゃ、どんな顔で話せば良いのだ?)」
「相変わらずの3課だよな。ハハハハ・・・・・・」
「ちょっと片山君。今のはどういう意味?まるで3課が変わっているとでも言いたいの。」
「凛子ちゃんも須藤女史の部署だと大変だな。苦労するね。(ニッコリ)」
「い、いえ!3課の先輩方には何時も何かとお世話になっています。特に須藤先輩には... ...」
「須藤に苛められたか?」
「と、と、とんでもございません!」
「だって、凛子ちゃんの『お願い申し上げます。』って普通は使わないだろう。普通は『お願いします。』だ。まるで須藤に言わされているみたいだよ。ハハハハハ・・・・・」
「片山君、失礼よ。ねえ、凛子ちゃん。私は優しいわよね。(ニコニコ)」
「ハイ!私、苛められてなんかいません!」
「ふ~~~ん」
まさかと思うが、「あの事」をこの場でバラすのではないだろうな。片山先輩!



本当に驚いたっていうものではないわよ!心臓がバクバクもんよ。
片山先輩は何か言うたびに私をチラチラと見る。これって「あの事」を何時かバラしてやろうというタイミングを見計らっているってことなの?
チラチラと見られるたびに私の小心者の心が苦しくなってくるじゃないのさ!
「・・・・ちゃん・・・・凛子ちゃん?どうしたの?」
「... ...何でしょうか?」俵先輩の目から見て私はビクついていたのか?
「凛子ちゃん、聞いていたの?片山さんの話し。」
「... ...すみません!」この男は何の話しをしていたんだ?
「もう~~!片山さんが傍にいるからって緊張しないでよ~~」
「ヘッ?...何故ですか?何故、片山先輩が傍にいると緊張するのですか?」
「エッ!... ... ... ...」
皆さん、どうして驚いてるの?私、何か変な事を言ったのかな?
「大した者だな。ハハハハ・・・・・」と犬好きの早乙女先輩が言う。
私には意味が分かりません。
「凛子ちゃんは片山君に会ったことは?」
「き、き、き...今日が...今日がはじ、初めてです。」
「俺も凛子ちゃんに会ったのは『今日』が初めてだな。」
「本当にどうしたの?凛子ちゃん。おかしいわよ。」
「何でもないです。須藤先輩。」
「今日が初めて」だとよく言えるものだ!片山先輩って後で、私が帰った後にバラすつもりなんだ!絶対に、最後まで此処にいてやる!バラされてなるものか!
そして私は何故か片山先輩の前に座っているのです。
時々、私を見る片山先輩の目つき。止めてくれ~~!私を見ないで!
片山先輩との「あの日の出来事」をバラされるかもという心配を気にするあまり気分が悪くなった。
私の為の歓迎会といえど、先輩方には迷惑はかけられない。
本当は最後まで居たかったけど気分が悪くなったのは仕方がない。新人であろうが、そんなことは言ってられない!やはり帰るしかない。それに電車の時間も気になるし。
先輩方に付き合いが悪いと言われれば「通勤時間が2時間かかる。」と言えばいい。

「皆さん、私 電車の時間がありますからお先に失礼させて頂きます。」
「あら?もうそんな時間なのね。凛子ちゃん、大丈夫?まぁ、アルコールも飲んでいないから大丈夫よね。」
「はい。本当に今日はありがとうございました。お先に失礼します。」
「は~~い。お疲れ様。そうだ!片山君、凛子ちゃんを駅まで送ってあげてね。彼女、こんな時間まで此処にいるのは初めてだから。」
「い、いいです!一人で帰れます!それに片山先輩にもご迷惑が!」
「俺なら良いよ。どうせ俺も電通だから。それに凛子ちゃんは可愛いから危険だし心配だ。」

そして私と片山先輩は二人して駅まで歩いているのです。
それに私の事がカワイイ?心配?よく言うよ!私のような普通の者が珍しいのか!
そんな私の思いと裏腹に片山先輩は私に色々と話しかけてくれんだけど、私には何も耳には入ってこない。その言葉も一々、私の顔を覗き込むように。
... ...私は片山先輩の顔を見られない。
それに何故、片山先輩が送ってくれるの?
色々と思い巡らしていると、ますます気分が悪くなる~~
どうすりゃ良いのさ!
そして駅に着いて「先輩、ありがとうございました。」とお礼を言ったら片山先輩は... ...
「心配しなくても大丈夫だよ。『あの一件』は誰にも話してないから。」
「... ...ありがとうございます。」
私はただただ、お礼しか言えない。
そして、片山先輩は「今度、メシでも行こうか?」
「エッ!... ...と、とんでもございません!」と思わず断った。
私如きと、ご飯に行くなんて何か魂胆があるはず!
きっと、私を田舎者と分かったうえで遊ぶつもりなんだ。
もしかすると「あの一件」の為の脅迫か?
危ない、危ない!
樹よ、お姉ちゃんは騙されていないぞ!安心してくれ!
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by everlasting-lif | 2013-12-07 00:49 | 雨のち時々晴れ。 | Trackback | Comments(0)

いろいろな出会いがあって、楽しい事も考える事も。たまには悲しいことも。後悔も。


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